研究分担者 |
川幡 穂高 東北大学, 理学研究院(産業技術総合研究所), 教授 (20356851)
酒井 治孝 九州大学, 大学院・比較社会文化研究院, 教授 (90183045)
坂本 竜彦 海洋研究開発機構, 地球内部変動研究センター, グループリーダー (90271709)
桑原 義博 九州大学, 大学院・比較社会文化研究院, 助教授 (90281196)
山中 寿朗 九州大学, 大学院・比較社会文化研究院, 助手 (60343331)
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研究概要 |
本年度は,北海道の白金川から採取した試料の岩相の記載および処理をおこなった.調査地域の岩相は,下位より泥岩卓越の砂岩・泥岩互層,緑色泥岩と黒色泥岩層の互層,緑色泥岩層の3つに大きく区分される.砂岩・泥岩互層には6cm以下の砂岩と火山灰の薄層を挟む.中部の緑色泥岩は1〜2mの厚さがあり,数cm〜数十cmの厚さの火山性の砂岩層を挟む.また,この層準の黒色泥岩には火山灰層,大型のノジュールがみられる.上部の緑色泥岩には生痕化石が顕著で数cmの大きさをもつ擾乱の痕がみられる.これらの岩相から100以上の試料をブロック(縦30×50cm程度)として採取し,接着剤で固めて切断・研磨ができるように整形した.また,その一部をボロン法により分解し,その中から植物片を抽出し同位体分析用の試料とし,ただ今測定中である. フランスの試料に関しては,アプチアンからチューロニアンまでの時代にわたり,500試料以上を採取し,そのほとんどの処理は終了した.これらは,微化石群集の構成と同位体比の分析を行っている途中である. アメリカ西海岸の試料に関しては,ナノ化石による分析はほぼ終了した.本層(Budden Canyon Formation)は,岩相からは6つの部層に区分されるが,ナノ化石ではBC17からUC9に至る14帯に区分された.その地質時代は,バレミアンからチューロニアンにわたる.このうち,バレミアン/アプチアン境界を除いては大型化石と微化石での地質時代に大きな食い違いはないようである.また,底生有孔虫によると,幾つかの層準で明らかに海洋無酸素事変に対比できる群集が観察され,西海岸で初めてそのイベンの存在が示唆されるようになった.
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