研究課題
手取層群桑島の白亜紀前期(約1億3000万年前)の氾濫原の地層から産出した、胴体が著しく伸長した爬虫類を未記載種として記載した論文を英国古生物学会誌に投稿し受理された。2006年中に発行される予定である。同標本の産出層準からは、他にも四肢の退化した爬虫類が棲息した可能性が明らかになり、これらの生息環境の復元を試みた。桑島層から共産するトカゲ類化石、魚類化石標本を、米テキサス大学オースチン校に持参し、マイクロCTスキャン撮影をおこない、外表面からは観察の出来ない内部微細構造を明らかにした。これまで、胴体の伸長と四肢の退化には相関があるとされてきたが、本研究で記載した爬虫類は胴体が伸長しているにも関わらず、四肢は退化していないようであることから、胴体長と四肢長の相関が疑問視されるようになった。本研究で着手した発生生物学的研究では、四肢の発現位置と四肢の発達度合いに相関があるという作業仮説を得るに至った。昨年度はニワトリの胚において、その相関を確認することが出来た。今年度は、絶滅種と現生種において、心臓の位置と肩及び前肢の位置に相関があるかどうかを調べた。その結果、ミミズトカゲの現生種のように、四肢が退化している種においては、その位置関係に変位が大きい可能性が指摘出来た。現時点までのデータによれば、前肢の発現位置が前後する、すなわち首や胴体の長さに変化が起きた場合に、四肢がその姉妹群よりも短くなるという仮説を裏付けることができた。
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9th Symposium on Mesozoic Terrestrial Ecosystems and Biota, short papers. (印刷中)
Boletim de Resumos, II Congresso Latino-Americano de Paleontologia de Vertebrados, Rio de Janeiro, Brazil.
ページ: 100-102