研究概要 |
ダイヤモンドの合成法としては,高圧法,CVD法の2通りの方法が知られている.私たちは,10Kでアモルファス氷(H_2O, CO, CH_4,NH_3)に紫外線を照射すると1-2nmのダイヤモンドが生成されることを発見した(Kouchi et al.,準備中).これはまったく新しいダイヤモンドの生成法であり,これまでの常識を覆す発見である.しかし,最終的な生成物のみを透過型電子顕微鏡で観察しただけなので,ダイヤモンドの生成機構は不明のままである.そこで,本研究計画では,高感度反射赤外分光法を適用したin-situ分光により,ダイヤモンドの生成機構を議論する上で重要となる基礎データを取得しようとするものである. 平成15年度は以下の研究を行った: 1)極低温超高真空光化学反応装置の改良 現有の極低温超高真空光化学反応装置を改良し,真空度の向上および試料からの蒸発ガスの分析が可能となるようなシステムを製作した. 2)高感度反射赤外分光システムの製作 現有のFTIRおよび高感度反射用の外部光学系を1)の装置に適合するように改造し,アモルファス氷薄膜および有機物薄膜の赤外線吸収スペクトルの変化を高感度に測定できるようにした. 3)有機物の作製実験 アモルファス氷(H_2O, CO, CH_4,NH_3)を10Kの金属基板上に作製し,それに紫外線を照射する.照射終了後,基板の温度を室温まで上昇させ,有機物の薄膜を作製した.
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