研究分担者 |
加藤 工 九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (90214379)
上原 誠一郎 九州大学, 大学院・理学研究院, 助手 (70158773)
近藤 忠 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20252223)
大谷 英治 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60136306)
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研究概要 |
放射光施設KEK-PFにおいて,大型焼結ダイアモンドを用いた高温高圧発生に関する開発を行ない,35GPa,2000Kのまでの条件で10-30秒毎のX線回折時分割測定が可能となった。またオーストラリアのRingwood Superabrasives社が提供しているSiCをバインダー材に用いた焼結ダイアモンドアンビルをX線窓材用アンビルとして試用し、超硬アンビルと組み合わせた2段加圧方式により20GPa,2000Kまでの高温高圧発生に成功した。 それらの技術を用いて、天然ガーネットのポストガーネット相転移カイネティクス、輝石(エンスタタイト、ダイオプサイド)の高圧相転移カイネティクス、またオリビン-スピネル相転移カイネティクスに対する水の効果を定量的に明らかにした。実験の回収試料について、透過型電子顕微鏡を用いた相転移微細組織観察および顕微FTIRを用いた含水量の測定を行い、相転移のメカニズムを明らかにした。また沈み込む海洋プレート環境下で重要とされる、準安定な立方晶ペロフスカイト相の出現、高圧含水珪酸塩鉱物の脱水分解反応、さらには衝撃を受けた隕石中に存在する相転移微細組織とカイネティクスに関する研究を行った。また、マントル遷移層の主要構成鉱物であるウオズレアイトの陽イオン拡散係数を実験的に明らかにし、沈み込むプレートやマントル遷移層のレオロジー、および地震学的410km不連続面の上下における輸送物性の不連続について考察した。 そして、これまでに得られた相転移カイネティクスの定量的な実験データを地球深部に沈み込むプレート内部条件下にスケーリングすることにより、沈み込むプレートのmetastable mineralogyを構築し、上下マントル境界付近においてプレートに働く浮力を計算した。また相転移のメカニズムやカイネティクスを基に非平衡相転移により結晶がどの程度細粒化するかについて推定し、それにともなう沈み込むプレートの強度変化を計算した。それちを基に地球深部に滞留する海洋プレート(スタグナントスラブ)に関する考察を行った。
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