研究概要 |
本研究では、珪酸塩ガラスの高圧力下でのナノ構造の変化を明らかにし、地殻下部・マントル上部におけるマグマの挙動及び隕石衝突時の構造変化についての情報を得ることを目的とし、以下のような研究を行った。 1.SiO2ガラスについて静水圧による圧縮実験を行い、15GPaまでの圧縮で約28%の密度増加を確認し、それが、非架橋酸素を持つSiO_4四面体の小さなリング構造(3、4員環)の増加によることを明らかにした、この密度増加は、従来の我々の研究で明らかにした衝撃圧縮での密度増加より大きい。さらに、SiO_2,にGeO_2を加えたガラスについても衝撃圧縮を行い、GeO_2成分の増加に伴い構造変化が起こる圧力が低下することを明らかにした。 2.CaSiO_3-MgSiO_3,組成ガラスの静水圧縮及び衝撃圧縮実験を行い、構造変化をX線回折法、ラマン分光法ならびに分子動力学計算によって調べた。その結果、静水圧での圧縮では7.5GPaで5%前後の密度増加が観測され、X線回折測定、ラマン分光測定ならびに分子動力学計算の結果から、SiO_4四面体の3,4員環の増加が密度増加に寄与していることが明らかとなった。他方、衝撃圧縮では、これらのガラスは殆ど密度増加を示さず、衝撃圧縮ではSiO_4四面体の3,4員環が生成せず圧力の開放とともに構造緩和が起こり密度が変化しなかったと考えられる。 3.オパール試料について、38GPaまでの衝撃実験を行い、そのナノ構造の変化を明らかにした。その結果、オパールは20-30GPaの圧縮で約10%密度が増加し、より高圧では再び密度が減少することを見出した。X線測定の結果から、衝撃圧縮により結晶様の構造が失われ無秩序構造に変化することを明らかにした。 4.上記の研究の多くは、国内学会をはじめ2006年には国際鉱物学連合(IMA)で発表し、学術論文などとして公表した。
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