研究概要 |
本年度はマントル内部での親鉄・親銅元素の分布と挙動の総合的解明の第2年度として、自金族元素の定量法の開発・改良をおこなった。Meisel et al.(Chem.Geol.,201,161-179,2003)は、これまで完全と思われていた、世界中のRe-Os法の研究者の9割以上が用いている、カリアスチューブによる試料分解法(ガラス管に試料と王水を封入し、それを230℃に加熱する試料分解法)では試料が完全に分解できず、400万円もする高圧灰化装置を用いて初めて試料が分解できることを示した。そこで本年度は、昨年度に設計・試作した、約300℃で試料分解が可能な安価な密閉分解容器に改良を加えた。特に、さまざまなシール材料を検討し、密閉可能でかつレニウムと白金族元素のブランクが低いテフロン材料を見出した。本年度は、正確な分析値を得るための分析条件の検討もおこない、密閉分解容器の特許を申請した。 また、イオン交換樹脂を用いる白金族元素の抽出に関しても新しい方法をデザインし、特許申請をおこなった。これは、Kdの大きなイオン交換樹脂を用いて白金族元素を濃縮する際に、沈殿を遠心分離などで分離することなく、樹脂を網の中に入れ、バッチ処理で元素を吸着させ、樹脂を取り出すというものである。
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