研究概要 |
今まで当研究室では6配位サイトまたは4配位サイトを持つ鉱物と塩化物水溶液間における2価陽イオンの同時分配実験を行なってきたが、本年度では6配位サイトおよび8配位サイトを持つ角閃石(透閃石)および輝石(ヘデン輝石)を用いて2価陽イオンに対する同時分配実験を行なった。実験は500〜800℃、1kbの超臨界熱水条件下で実験を行なった。また、対象イオンとしてはNi、Mg、Co、Zn、Fe、Mn、Ca、Srの8イオンを取扱った。 角閃石および輝石の場合には,2価陽イオンの入り得る6配位サイトと8配位サイトに対応する2つのピークを持つ分配係数-イオン半径(PC-IR)曲線が求められた。6配位サイトのピークはNiとMgの間に、8配位サイトのピークはCa近くに位置しており、Mn付近で極小位を示す。6配位サイトに対応するPC-IR曲線は、8配位サイトに対応する曲線と比べて勾配がきつくなっており、6配位サイトは8配位サイトと比べてイオン選択性がきついことを示している。また、温度上昇に伴い,全体的にイオン選択性は小さくなる傾向を示す。これら2鉱物においては、CoとZnが他の2価イオンとは異なる挙動を示し、鉱物中に濃集しにくいことを示している。 上記実験では、テストチューブ型の高圧反応容器を用いて実験を行なっており,1kbが実験圧力の上限となる。そこで、上記分配実験に対する圧力依存性を求めるために、本年度ではピストンシリンダ型高圧反応装置の導入をおこなった。しかしながら,圧力が一定しないことから、修理を行なったが,最終的には年度内に修理が間に合わず、上記分配に関する圧力依存性に関する実験は次年度に持ち越されることとなった。
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