研究課題/領域番号 |
15340192
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
中村 栄三 岡山大学, 固体地球研究センター, 教授 (80201672)
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研究分担者 |
牧嶋 昭夫 岡山大学, 固体地球研究センター, 助教授 (70219301)
森口 拓弥 岡山大学, 固体地球研究センター, 助手 (70304342)
小林 桂 岡山大学, 固体地球研究センター, 助手 (20325129)
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キーワード | 高分解能二次イオン質量分析計 / ジルコン / 標準試料 / U-Pb年代測定 / 表面電離型質量分析計 / 超高真空高焦点深度反射顕微鏡 / 空間解像度 / 薄片試料 |
研究概要 |
本年度は、前年度導入した高分解能及び汎用二次イオン質量分析計用の超高真空高焦点深度反射顕微鏡システム(PMLopt-1)を活用した高分解能二次イオン質量分析計による年代測定を、さまざまな岩石試料中のジルコンに対して適用し、その年代測定技術の有効性を確認した。変成岩中に含まれる、変成過程において結晶化したジルコンは、多くの場合その粒径が数10ミクロン以下と小さく、さらに含有するウランの濃度が低いため、結果として生ずる娘核種としての鉛の濃度は極めて低い。したがって本研究によって確立した技術を適用し、複雑にゾーニングしたジルコンを高空間分解能年代測定を行うことによって、技術の有効性の確認ばかりでなく、変成過程の履歴を明らかにする年代情報が得られることとなる。分析対象として、ブラジル産のグラニュライト相に相当する変成岩を選び、分析を行うこととした。試料は岩石薄片をそのまま用い、事前にSEMによる主要元素濃度分布の確認及びカソードルミネッセンス法による結晶成長面の確認を実施し、精密な記載のもと年代測定を行った。なお分析対象ジルコンは、我々が独自に開発した「Visual Stage」システムを用いて、SEM-高空間分解能二次イオン質量分析計間で位置座標を共有し、極めて効率的に分析を行うことが出来た。年代測定時には超高真空高焦点深度反射顕微鏡システム(PMLopt-1)で確実に分析点を選択することが出来、数10ミクロンのジルコンに対し3点以上の分析が可能になった。したがって、本研究の目的の一つである10ミクロン以下の高空間分解能分析は十分に達成できると考えられる。また得られた年代データは、約600〜800Maにわたる分布を示し、このグラニュライトが極めて複雑な形成過程を経てきたことが推定される。今後、ジルコンの微量元素濃度測定及び空間分布の記載から、その形成過程をより詳細に検討する。
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