研究課題
本年度は、導入した高分解能及び汎用二次イオン質量分析計用の超高真空高焦点深度反射顕微鏡システム(PMLopt-1)を活用した高分解能二次イオン質量分析計による年代測定を、変成岩及び花崗岩試料中のジルコンに対して適用し、その年代測定技術の有効性を確認した。変成岩中に含まれる、変成過程において結晶化したジルコンは、多くの場合その粒径が数10ミクロン以下と小さく、さらに含有するウランの濃度が低い。そのため結果として生ずる娘核種としての鉛の濃度は極めて低く、本研究によって確立した分析技術が必要不可欠である。この技術を応用、コヒースタン地域に産する下部地殻起源変成岩中のジルコンの年代測定を実施し、当該地域のテクトニックイベントに起因する変形史を明らかにする重要な証拠を示すことが可能となった(Yamamoto et al.2005)。また中国Wushan地域の花崗斑岩の年代測定を実施し、144.6±3.9Ma及び121.0±2.5Maの2ステージの年代値を得ることが出来た。前者は花崗斑岩の形成年代、後者はその後の熱及び熱水による続成作用の年代を表していると解釈される。このような研究成果は、精密な記載に基づいた年代測定によっており、本研究で開発された分析技術が極めて有効であることを示している(Ding et al.2005)。本研究の遂行により、10ミクロンスケールのジルコンU-Pb年代測定法が確立した。したがってコノ技術を様々な地質学的現象に応用することによって、今後も重要な成果を上げることが出来ると確信する。
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