研究課題
基盤研究(B)
新規低温プラズマラジカル照射法のため、誘導結合型高周波水素メタンプラズマ中の電子温度制御領域と基板成膜領域の間をオリフィスで隔離し、オリフィスを通して低電子温度プラズマ並びにラジカルが基板に照射される方法を考案した。口径が6mmのオリフィスを用いると基板上にナノクリスタルダイヤモンドが生成された。メタンの水素による希釈率を1%以下にすると、更に良質のナノクリスタルダイヤモンドが形成されることが分かった。口径を広げると、ダイヤモンドライクカーボン薄膜が堆積した。この原因としてプラズマ中炭化水素ラジカルのsp3/sp2の密度比が低下したことが考えられる。この方法を応用して更に大面積基板上でナノ結晶成長を実現するため、ホロー効果を併せ持つ円環型高周波マグネトロンプラズマ源を考案した。電子温度を低温化してsp2成分の低減化を図った。磁界と電界による閉込め効果によって、高密度プラズマが高効率で生成されることが分かった。成膜実験の結果、低電子温度プラズマ中ではナノサイズの微粒子が発生することが分かった。正四面体を基本とす多面体の結晶構造をとる。高電子温度プラズマ中では、シート状のアモルファスグラファイトから成るナノウオール構造が形成された。結晶成長の違いとして下地薄膜のsp2/sp3比の不規則性が考えられる。低電子温度プラズマ中ではsp2/sp3比が小さく、sp3を基本とする結晶構造の成長が考えられる。低電子温度プラズマは基板入射イオンエネルギーを小さくでき、核発生や結晶成長にダメージが少なく、結晶サイトへのマイグレーションが促進され、多面体的なナノ結晶粒子が形成される。以上のように電子温度低温化によりラジカル組成比が変化し、結晶核の発生やナノ構造形成制御に極めて有効となることが分かった。
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