高速プラズマ流のイオン加熱と推進技術への応用

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 15340196
• 研究種目: 基盤研究(B)
• 研究機関: 東北大学
• 研究代表者: 安藤 晃 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (90182998)
• 研究分担者: 市村 真 筑波大学, 物理工学系, 助教授 (10151482) ; 服部 邦彦 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (90261578) ; 犬竹 正明 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90023738)
• キーワード: 推力可変推進機 / 電気推進機 / 高速プラズマ流 / プラズマ加熱 / ヘリカルアンテナ / アルヴェン波

研究概要

本研究の目的は、高速で移動するプラズマ流中のイオンを効率よく加熱し、さらに磁気ノズル配位を用いることで流れの方向のエネルギーに変換する手法を用いた推力可変推進機システムを実現させ、その有効性を明らかにすることである。本年度は、MPDアークジェットにより生成された高速高密度プラズマ流の高周波加速実験を行った。高周波アンテナとして、新たにヘリカル型アンテナを製作し実験を行った。加熱効率は反磁性コイルによるエネルギー変化量測定と同時に、ファラデーカップによるプラズマ流中のイオン温度測定をおこない、イオン加熱効率を評価した。
その結果、右巻きヘリカルアンテナ、左巻きヘリカルアンテナによりm=-1のシアアルヴェン波とm=+1のコンプレッショナルアルヴェン波を選択的に励起することができた。また、右巻きヘリカルアンテナでは励起された波の波長がアンテナ長の2倍になるときに効率よく励起できることがわかった。このアルヴェン波の励起中に反磁性コイル出力が増加し、MPDアークジェットにより生成された高速高密度プラズマ流の高周波加熱に世界で初めて成功した。
今回の実験条件では、イオンサイクロトロン共鳴磁場での明瞭共鳴現象や励起する波動によるプラズマエネルギー吸収率の違いは見られなかった。この事は、プラズマ加熱機構としてイオンーイオン同士の粒子間衝突によりイオン加熱が起きていると考えられる。

研究成果

• [文献書誌] Bulletin of the Americal Physical Society, (DPP2003, 45th, Albuquerque): "Ion Heating Experiment in a Supersonic Plasma Flow for an Advanced Plasma Thruster"Proc.of 26th Int.Conf.on Phenomena in Ionized Gases(2003,Greifswald). Vol.4. 131-132 (2003)
• [文献書誌] A.Ando: "Ion Heating Experiment in a Fast Flowing Plasma for an Advanced Plasma Thruster"Advances in Applied Plasma Science. Vol.4. 193-198 (2003)
• [文献書誌] A.Ando: "Ion Heating Experiment in a Supersonic Plasma Flow for an Advanced Plasma Thruster"Bulletin of the Americal Physical Society,(DPP2003,45th, Albuquerque). RP1-137. 326-326 (2003)
• [文献書誌] 藤村真哉: "高速プラズマ流中の波動伝搬とイオン加熱"電気学会プラズマ研究会資料. PST-03-21. 63-68 (2003)
• [文献書誌] 福井利英: "超音速プラズマ流中の衝撃波構造"電気学会プラズマ研究会資料. PST-03-23. 75-80 (2003)
• [文献書誌] M.Inutake: "Production of a supersonic Plasma Flow through a Laval Magnetic Nozzle"Proc.of 26th Int.Conf.on Phenomena in Ionized Gases(2003,Greifswald). Vol.1. 127-128 (2003)