研究課題
昨年度に構築した2段階レーザーホトリシス装置を用いて、a)9-シラフルオレン誘導体、b)9-シラフェナントレン誘導体、c)9-シラアントラセン誘導体、d)ベンジルシラン誘導体、e)側鎖にアゾベンゼン基を有するポリシランおよびMo鎖体存在下でのポリシラン、f)両末端に電子供与性基と電子受容性基を持つオリゴシラン、の励起状態について研究した。これらの結果については、分子構造総合討論会(広島)、光化学討論会(つくば)やケイ素化学シンポジウム(東京)において発表し、また一部については本年7月末に開催される第14回国際有機ケイ素化学シンポジウム(Wurzburg)で発表の予定であり、投稿準備中である。それらの成果は次の通りである。1.a)からc)のほとんどの化合物では、光励起に伴い励起一重項状態が生成するが、対応する炭素類縁体と比較すると、その寿命は短く、三重項状態へ項間交差しやすい。また、2.生成した三重項状態において二段目の光励起を受けるとカチオンラジカルが生成し、無極性溶媒中などのカチオンラジカルが不安定な条件ではプロトンを放出して中性ラジカルが生成する。3.d)のベンジルシラン誘導体は、光励起に伴い励起-重項状態から、超原子価状態とも言える特異な励起状態となるが、アルコール中では反応してベンジルラジカルの吸収を与える。一方、シクロヘキサン中においては、'特異な励起状態は比較的安定であり、その過渡吸収スペクトルを測定することができた。トリエトキシ置換体に対しては、その吸収極大は330nm、寿命は約70μsであった。4.側鎖にアゾベンゼン基を有するポリシランは大きな安定性を示す。またMo錯体を共存させた場合、錯体への電子移動が起こり、光安定性が増大することが確認された。
すべて 2005 2004 2003
すべて 雑誌論文 (6件) 図書 (1件)
Chemical Physics Letters 404
ページ: 300-303
J.Phtochem.Phtobiol. : Chemistry (印刷中)
Crystal Growth and Design 5
ページ: 461-465
J.Chem.Phys. 121巻・No.14
ページ: 6861-6867
Chem.Phys.Lett. 391(4-6)
ページ: 297-301
Chemistry Letters 32巻,No,11
ページ: 1048-1049