研究課題
基盤研究(B)
本研究では、生体分子に特徴的な分子間相互作用とダイナミクスについて解明するために、二重水素結合をもつDNAモデル塩基対7-アザインドール2量体における分子間相互作用と励起状態ダブルプロトン移動(ESDPT)に焦点を当てて研究を実施した。そのほか、水などの極性分子が芳香族分子に結合した水素結合クラスターの構造とプロトン移動ダイナミクスについても調査し、いくつかの新規な結果を得ております。研究成果のほとんどは、論文として公表されているが、主要な成果を以下にまとめた。1.7-アザインドール2量体の重水素置換体のホールバーニングスペクトルを測定し、7-アザインドール2量体のエキシトン相互作用は、従来考えられていた"strong coupling"ではなく、"weak coupling"ケースに分類されることを示した。2.7-アザインドール2量体の重水素置換体のホールバーニングスペクトルの分子間振動の帰属から、フェムト秒パルスは、接近して存在するESDPTを促進させる伸縮振動モードとESDPTに余り影響を与えない変角振動モードによる振電状態を同時に励起するので、2重指数関数の減衰が観測されることを示唆した。3.ピコ秒パルスで振動状態を選別して励起状態の減衰を観測したところ、単一指数関数の減衰が得られ、ESDPTの段階的機構が明確に否定され、協奏的機構でESDPTが生じるとことが明らかにされた。また、分散蛍光スペクトルの観測に基づいて、ESDPT速度のH/D同位体効果から"協同効果"の存在を示した。4.7-アザインドールにメチル基または塩素基を導入して、置換基の導入が二重水素結合ポテンシャルとESDPTに及ぼす効果について明らかにした。以上の様に、本研究はESDPT反応機構についての永年の論争に終止符を打っただけでなく、水素結合とプロトン移動の新しい側面を見出した。
すべて 2005 2004 その他
すべて 雑誌論文 (12件)
Chem.Phys.Lett. 406
ページ: 34-38
ページ: 15-19
J.Phys.Chem.A 109
ページ: 2722-2727
ページ: 2718-2721
Chem.Phys.Lett. 407(1-3)
Chem.Phys.Lett. 406(1-3)
J.Phys.Chem.A 109(12)
ページ: 2718-2821
J.Phys.Chem.A 108
ページ: 10789-10793
J.Chem.Phys. 121
ページ: 9436-9444
J.Phys.Chem.A 108(49)
J.Phys.Chem.A 109(25)