研究概要 |
ケイ酸ナトリウム水溶液に重金属塩の結晶をいれると,ケイ酸金属の半透膜チューブが成長する。ケイ酸亜鉛半透膜チューブの3次元形態的モルフォロジーの磁気誘導に世界で初めて成功した。すなわち3T〜15Tの垂直強磁場により右巻きまたは左巻き螺旋の半透膜チューブを選択的につくることができることがわかった。この磁場効果は,水溶液中のイオンに対するローレンツ力が原因と推定される。この新規現象が一般性のある現象かどうか,またメカニズムの詳細について解明するため,他の反磁性・常磁性金属塩結晶についての研究を行った。その結果反磁性のケイ酸マグネシウム膜や常磁性のケイ酸銅膜チューブの場合もケイ酸亜鉛の場合と同様に右巻き・左巻きのチューブを磁場で自由に誘導できることが分かった。3次元形態的キラリティー磁気誘導はシリケートガーデン反応(ケミカルガーデン反応)に一般的な現象であることがわかった。常磁性金属塩を用いた場合,磁気力により膜の成長速度が大きく左右され,螺旋成長にむしろ不郡合で磁気力はキラリティー誘導に関与しないことが明らかになった。メカニズムについてはさらに検討中である。 また、硝酸銀水溶液と金属銅や金属亜鉛の反応により銀樹が生成するが、この銀樹に対する垂直磁場の効果を検討した。その結果,自然対流を磁気力により制御できること,形状磁気異方性により銀樹が配向することなどが分かった。銀樹が成長する際ローレンツ力により銀樹付近の溶液が対流することが,磁場中のその場観察により証明された。
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