研究課題
基盤研究(B)
代表者は、電子移動と結合の組み替えがカップルした「動的酸化還元挙動」に着目し、この独自の概念に基づく分子応答系の構築を行った。本課題の直接的な目的は、応答系を分子素子へと展開しようとする際の新しいパラダイムの創出することであり、その具体的内容は以下の3つである。それらは(1)「動的」挙動を示す電場応答性分子を二次元に集積し、超高密度記録材料を構築するという「単一分子メモリ」の概念を提案し、そのプロトタイプを提示すること;(2)分子集積化に利用できる「新規な超分子リンカー」を探求し、それを基板表面修飾法として利用すること;(3)電子移動とカップルした結合の組み替えが、凝縮相全体の相転移を誘起する「動的液晶相」の創成を行うこと。期間内に、(1)については、ジスルフィドやエチニル基に代表される表面修飾能を持った分子の合成に成功するとともに、多重出力および多重入力型応答機能の実現に成功した。(2)については、ポリエーテル骨格の集合能に着目し、海産天然物にも見られる梯子型ポリエーテルの収束的合成法の開発とその方法論の有効性を示した。いくつかの部分骨格についてはX線構造解析を行い、CH--O水素結合による集合化を確認した。(3)については、パイ骨格の遠隔位に2つのジアリールエテニル基を導入した一連の電子供与性化合物の合成を行い、酸化還元によって可逆なモノマー-オリゴマー変換の起こる系を実現した。分子に長鎖アルキル基を持つアミノフェニル基へと置換することで、ゲル相も現れることから、バルク凝縮相のマクロな挙動を酸化還元によって制御できる系へ発展できることを示した。
すべて 2006 2005
すべて 雑誌論文 (12件)
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