研究課題/領域番号 |
15350023
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田村 類 京都大学, 地球環境学堂, 教授 (60207256)
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研究分担者 |
津江 広人 京都大学, 地球環境学堂, 助教授 (30271711)
高橋 弘樹 京都大学, 人間・環境学研究科, 助手 (00321779)
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キーワード | 結晶多形転移 / 有機結晶 / 優先富化現象 / ラセミ混晶 / 相変化 / 光学分割 / X線結晶構造解析 / 過飽和溶液 |
研究概要 |
今年度も昨年度に引き続いて、結晶化プロセスのメカニズム解明を目的として、我々が発見した新しい光学分割現象である優先富化現象に着目し、そのメカニズムについて検討した。その結果、適切な種結晶を選んで添加することにより、優先富化現象の誘起と阻害を制御することが可能であることが明らかとなった。この事実は、これまで著者らが提唱してきた優先富化現象のメカニズムが妥当なものであることを示すと同時に、一般的に種結晶表面で多形転移を制御することが可能であることを初めて示したことになる。そこで、この種結晶表面上で起こる多形転移をエピタキシャル転移と命名した。今後、この概念は有機結晶の多形制御を行う上で極めて重要な指針を提供するものと思われる。 次に、別の継続研究として、ラセミ体のアミノ酸およびジペプチド誘導体のパラ置換ベンゼンスルポナート塩を種々合成し、どのような分子構造の時に、これらの溶液からの結晶化により多形転移が起こりやすいかについて検討した。その結果、セリンのN末端をトリメチル化したアンモニウム塩が多形転移を起こしやすいことを見出し、これらのうちの3化合物について安定形の結晶構造の解析に成功した。まだ、準安定形の結晶構造が不明なため、十分な議論はできないが、アルコール溶液中でホモキラルな分子会合が優先していることが示唆された。したがって、さらに分子構造を修飾することにより、優先富化現象が起こる可能性も示唆された。
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