研究概要 |
1.フェロセンの上下のCp環がPPh基で架橋されたリン架橋[1]フェロセノファンを光照射により開環させると、オリゴマー化が進行する。このオリゴマー混合物からは、出発化合物の2量体が約30%得られる。この2量体は、2つのリン原子が2つのフェロセンで二重に架橋されたリン架橋[1.1]フェロセノファン骨格を有していた。この2量体には、antiとsynの異性体があり、2座のキレートリン配位子として有用なsyn体が熱的に安定であった。この配位子は金属に強く配位し、かつ2つのフェロセンユニットがバルキーな保護基としてはたらく。この性質を利用して,配位不飽和で不安定なため合成例の無い[Co(P-P)R_2](R=alkyl)の合成を行った。 2.前周期のTiをもつキレート配位子Cp_2Ti(CH_2PPh_2)(OPPh_2)を合成し、これを後周期金属のPdに配位させることで前周期-後周期ヘテロ2核錯体を得た。この錯体を用いてHP(O)Ph_2の1-octyneへのヒドロホスフィニレーション反応を行うと、HP(O)Ph_2が2回付加したn-Hex-CH(P(O)Ph_2)CH_2P(O)Ph_2が選択的に得られた。中問に生成する一付加体との競争反応の結果、この反応では,途中で生成する一付加体n-Hex-CH_2=CHP(O)Ph_2が、Ti-Pd錯体から脱離することなく2度目のヒドロホスフィニレーションを受けることで選択的ダブルヒドロホスフィニレーションが進行することが判った。
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