研究課題/領域番号 |
15350038
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
上舘 民夫 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70185990)
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研究分担者 |
石田 晃彦 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (20312382)
谷 博文 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (10271644)
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キーワード | リポソーム / ナノリアクター / 化学発光反応 / ルミノール / フルオレセイン |
研究概要 |
リポソームの内水相をナノリアクターとして応用するため、西洋わさび由来のペルオキシターゼ(horseradish peroxidase : HRP)を内封したリポソームを調製した。リポソームはフォスファチジルコリン(PC)、フォスファチジルグリセロール(PG)およびコレステロール(Chol)の3成分からなり、押出し法により調製した。3成分の組成はPC : PG : Chol=8:1:1とした。また、HRP内封リポソームの平均粒子径は1000nmとした。 つぎに、リポソームをナノリアクターとして応用するため、リポソーム内に存在する.HRPを化学発光(CL)反応により検出することを試みた。CL試薬にはHRPがCL反応の触媒として関与するフルオレセインおよびルミノールを用いた。実験はHRP内封リポソームの外水相にCL試薬と過酸化水素を加え、それらの物質がリポソーム膜を透過し、リポソーム内でHRPの触媒作用により放出される発光を観測した。 フルオレセインおよびルミノールとも、リポソーム膜を迅速に透過し、添加後、直ちにCL反応が進行することが明らかになった。HRPがリポソーム内に存在する場合と溶液中にフリーでいる場合について、それぞれのCL試薬を用いた場合の検出限界を求めた。その結果、フルオレセインではHRPがリポソーム内に存在する場合と比較して、HRPが溶液中にフリーでいるほうがHRPの検出感度が約4倍向上した。一方、ルミノールの場合、溶液中にフリーでいる場合と比較して、リポソーム内に存在するHRPを直接的に検出するほうがHRPの検出感度が約5倍向上した。なお、リポソームをナノリアクターとして応用した場合のHRPの検出限界は、フルオレセインおよびルミノールについてそれぞれ2.2x10^<-13>molおよび2.0x10^<-13>molであり、CL試薬に差がないことが明らかになった。
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