研究概要 |
我々は導電性ポリマー内に作成した分子鋳型を用いる分離法・定量法に関する研究を行ってきた。分子鋳型を有するポリマー(MIP)は様々な方法で合成されているが,センサーに使用できるほど選択性に優れたものはほとんどない。我々のグループはこの間を解決するため,導電性ポリマー(ポリピロール)を用いた鋳型作製法について検討してきた。本年度は,これらの膜・微粒子の性能を更に向上させると共に,実用的検討を行った。今年度は,以下の点について検討した。 1.導電性高分子による新規分子鋳型作成法の開発と高機能化(ナノ薄膜,微粒子) コール酸ミセルで作成したポリピロールコロイドは,鋳型分子を選択的に取り込むことが分かった。用いる界面活性剤や合成条件を検討することにより,選択性の最適化検討した。その結果,アミノ酸二重イオンの光学異性を検出することに成功した。 さらに,MIPナノ薄膜を用いた化学FET素子の作製についても検討を行った。MIPによりセンサーを構成するときには薄膜を作製する必要があるが,MIP膜自体はトランスデューサ機能がないため,検出の点で問題がある。この研究では,MIPナノ薄膜を用いた化学FETを作製し,検出素子としての検討を行い,コレステロール鋳型を有する膜の作製に成功した。この膜はコレステロール類縁体に対して優れた選択性を示した。 2.医療センサーへの応用 上記において開発した膜を用いて,医療用センサーとしての応用を検討した。選択性,感度など,実用的なシステムの開発に関する基礎データを得た。
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