本研究ではレーザーで加工したキャピラリーを、アダマール変換キャピラリー電気泳動、並びにポストカラム反応に応用した。レーザー加工キャピラリーを用い、キャピラリーの両末端、及び小孔部分に異なる電圧を印加し、両末端の電圧のみを切ることで試料を、両者を印加することで緩衝溶液を注入することに成功した。この装置と小型レーザー励起蛍光検出器及び吸光光度検出器を組み合わせ、数種のアミノ酸を含む試料に対して、十倍以上の検出感度の向上を実現した。また、光ゲート注入法を用いるアダマール変換キャピラリー電気泳動法を、アミノ酸光学異性体の分離に適用した。さらに装置を改良し、一回の注入体積当たりの27分子のフルオレセインイオンの検出に成功した。これら結果に基づき、清涼飲料水中のアミノ酸の分析を行ったところ、すべてのアミノ酸に対して、検出感度の向上を達成し、アダマール変換キャピラリー電気泳動法が有効な手法であることがわかった。一方、レーザー加工キャピラリーをポストカラム反応に利用するために、発光ダイオードを光源とするレーザー励起蛍光検出器を作製した。この検出器を用いて、オルトフタルジアルデヒドで標識したアミノ酸を測定したところ、セリンとグルタミン酸について、良好な結果が得られた。この結果に基づき、ティーコネクターを用い、ポストカラム反応を行ったところ、幅の広いアミノ酸ピークが検出された。これはティーコネクターでは、ポストカラム反応を行わせることは可能であるが、試薬との混合の際にピーク幅の広がりを抑制することができないことを示している。そこでレーザー加工キャピラリーを利用するポストカラム反応器を作製し、同様の実験を行ったところ、ティーコネクターの場合と比較して、ピーク幅の広がりを抑制できることがわかった。さらに、光源としてアルゴンイオンレーザーを利用する高感度分析に関する検討を行った。
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