DNA固定化ナノスフェアを調製し、その凝集を利用して遺伝子の多型解析(SNP解析)を行うことを目的としている。互いに異なる塩基配列のDNAをその表面に持つナノスフェアの混合分散溶液にDNA試料(1本鎖検体遺伝子)を加えると、その塩基配列に相補的なDNAを持つ粒子のみが選択的に凝集することが期待できる。このとき、色素を含浸したスフェアを使用すると遺伝情報を溶液あるいは凝集体の色の変化として観察することが可能になると考えられる。 用いたナノスフェアはポリスチレン製の40nmの粒径をもつ均一な球形で、表面にはカルボキシル基を、内部には蛍光色素を有する。遺伝子サンプルとしてp53遺伝子の一つのホットスポットを含む野生型と変異型の45量体を合成した。両サンプルDNAの末端に相補的な15量体DNAをペプチド結合を介して赤(R)、緑(G)、青(B)スフェアに化学修飾した。これらスフェア混合溶液に野生型DNAサンプルを添加すると全体的に黄色味(R+G)を帯びた色で発光する凝集体が、一方、変異型を添加するとマゼンタ(R+B)の凝集体が生じた。さらに両DNAの混合サンプルを添加すると白く(R+G+B)発光する凝集体を観察することができた。 本系は原理的にはワンポットで複数の遺伝子を標的とすることが可能で、さらに遺伝子混合サンプルには、その組成を反映した色の凝集体を与えることがわかった。アレル解析への適用が可能と考えられる。
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