研究概要 |
DNA固定化ナノスフェアを調製し、その凝集を利用して遺伝子の多型解析(SNP解析)を行うことを目的としている。互いに異なる塩基配列のDNAをその表面に持つナノスフェアの混合分散溶液にDNA試料(1本鎖検体遺伝子)を加えると、その塩基配列に相補的なDNAを持つ粒子のみが選択的に凝集することが期待できる。このとき、色素を含浸したスフェアを使用すると遺伝情報を溶液あるいは凝集体の色の変化として観察することが可能になると考えられる。 前年度、本法により遺伝子のアレル解析が可能であることを示した。平成16年度はこの技術を免疫診断に応用することにした。まず、三種類(a, b, c)の異なる抗原性ペプチドをaとb、bとcの組み合せでそれぞれ赤と緑のスフェア上に修飾した。ペプチドの固定化には縮合剤の量、溶液のpHが非常に重要であり、スフェアの不可逆的凝集を防ぎながら多くのペプチドを固定化することの可能な条件を見いだすことができた。このとき、塩基性のペプチドは固定化の際にアニオン性のスフェアを凝集させてしまう傾向があり、固定化量を増やすことが難しかった。酸性のリンカーを導入して、ペプチド全体をアニオン性にすることでこの問題を解決した。赤と緑のスフェアの混合溶液に抗a抗体が添加されると赤、抗c抗体が添加されると緑、抗b抗体が添加されると黄色の凝集体を観察することができた。凝集体は静止し、分散したままのスフェアはブラウン運動をしていることをビデオ撮影によって確認することができた。
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