研究概要 |
15年度の目標は第一に微小部蛍光X線分析装置の実験装置を組み立てることであったが、平成15年10月までには一応の装置の組み立てが終了した。この装置にはまだ日本では使用例が少ない「X線ポリキャピラリーレンズ」を利用した。これは、微細なガラス管を数10万本以上束ね、1つのX線集光レンズとして成形したものであり、X線の取り込み角度を大きく取れるため、X線を効率良く利用でき、かつ微小領域に集光することが可能となる。X線ポリキャピラリーと細孔付きカンチレバーを有するAFMユニットを設計・購入し、現有のX線発生装置の架台に取り付ける。CCDカメラ、試料ステージ、X線検出器などを配置した。まず、このX線レンズの特性を評価する実験を行った。直径10ミクロンのタングステンワイヤーを3次元的にパソコンにより制御可能な試料ステージに取り付け、ワイヤーからの蛍光X線強度を測定することにより評価した。その結果、焦点位置において約50ミクロンであり、焦点から離れるに従い、ビーム径も広がることが分かった。このように、X線レンズは非常に試料-レンズ間の距離依存性が強いことが明らかとなった。 デモンストレーションとしてキノアと呼ばれる1mm程度の種子の内部の元素分布の測定を行った。蛍光X線は大気圧下で非破壊的に測定できるので、この特徴を生かして成長過程の種子、及び、芽や根の内部の元素分布(K,Cl,Fe,Cu,など)を測定した。この結果は昨年のTXRF2003国際会議でポスター発表し、以下のように、ベストポスター賞を受賞した。 TXRF2003 Best Poster Award(The 10th International Conference on Total Reflection X-Ray Fluorescence Analysis) "Development of Micro X-ray Fluorescence Analysis Instrument using Polycapillary X-ray Lens and its Application" by T.Emoto, Y.Sato, K.Tsuji, X.Ding(2003年9月17日、淡路夢舞台国際会議場)
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