研究概要 |
多数成分を一斉に効率よく分離定量する方法として,液体クロマトグラフィー(LC)とキャピラリー電気泳動(CE)とを組み合わせたLC-CE二次元分離法の確立を目的に研究を行っている。本年度は2段目のCE分離にマルチキャピラリー電気泳動ではなく、1本のキャピラリーを用いる通常のCEにより実験を行った。1段目の分離に内径200μm,長さ25cmのモノリスシリカゲル逆相カラムにグラジエント溶離法を採用したミクロ逆相LCを,2段目にCEには内径50μm,有効長50cmのキャピラリーを用いた。試料には枯草菌細胞内の代謝物を分析する目的で、代謝物と予想される標準化合物54種の混合物と、枯草菌細胞抽出液の両方を用いた。ミクロLC溶出液を2μl(1min)毎に分取し、24分画に分けた。各分取分画を減圧下で溶媒を蒸発させ、残渣をCEに適した溶媒に溶解した。ミクロLCの初期の溶出物は極性の高い化合物なので、ダイナミックpHジャンクションによるオンライン試料濃縮と組み合わせたキャピラリーゾーン電気泳動分離を行った。LCからの遅い溶出物は疎水性が高いので、スウィーピングと組み合わせたミセル動電クロマトグラフィーにより分離した。この方法により標準化合物54種は完全に分離できた。枯草菌細胞抽出液については多数成分が分離できたが、感度が不十分で検出できた成分数は予想より少ない。標準化合物と同じ化合物は分離結果から同定できた。今後は標準化合物の数を増した実験を行うとともに、マルチキャピラリー電気泳動装置の利用も考える。
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