研究概要 |
内部アセチレンと末端アセチレンを2価チタンに規則的に配位させた後、ヨードリシスすることにより容易に得られる種々の1,4-ジヨードー1,3-ブタジエンの合成的利用展開を行った結果、下述する3つの結果を得た。 1)1,4-ジヨード-1,3ブタジエンの位置選択的メタル化反応がマグネシウムアート錯体により達成できることを見出した。この反応を利用すると従来は合成に多行程を要した多置換フェノールやスチレン誘導体が簡便に合成できることを明らかにした。 2)1,4-ジヨード-1,3ブタジエンとグリニャール反応剤の選択的カップリング反応がパラジウム触媒存在下で進行することを見出した。この反応を利用して、1.3.6-三置換フルベンの選択的合成を行った。特にこれまで合成が困難であったシス体フルベンの合成が可能となったことは特筆される。特にピリジン基を有す化合物はEL素子として利用可能であると考えられ、EL素子を組み立ててその発光挙動を観察した。 3)1,4-ジヨード-1,3ブタジエンとクプラートの反応が選択的にトリメチルシリル基をα-位に有す位置で起こることを見出した。生成物中に存在するビニルヨウ素基そしてビニルシリル基の反応性を利用することにより各種の多置換共役ジエンの一般性の高い合成法が確立できた。 π-共役オリゴマーの合成法を更に発展させ、ヘテロ芳香環とエンインあるいはエンジイン骨格を交互に持つオリゴマーの合成に成功し、これら化合物が強い蛍光を示すことを明らかにした。
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