研究課題
酸化セリウムは酸化チタンや酸化亜鉛と同様に紫外線遮断効果があり、遮光剤して注目されている。一方、工業材料などへ応用するには、酸化セリウムの強い触媒活性を抑える必要がある。また、透明性や紫外線遮断効果を高めるためには、ナノ微粒子の凝集力に逆らって分散性を高めねばならない。我々は、活性を抑えて分散性を高めるための表面保護剤として3-アミノプロピルトリエトキシシラン(ATS)を用い、ゾル-ゲル反応により、酸化セリウム微粒子の表面をアモルファスシリカで被覆した。微粒子の生成は、波長400nm以下の光の吸収によって確認できた。ATSの添加量が増すにつれて微粒子の分散性は増したが、過剰に加えるとシランのゲル化によって長時間後に微粒子は沈殿した。ATS被覆処理を行っていない微粒子と行った微粒子では後者のほうが触媒活性能が低下したことを確認した。さらに、生体高分子の一つであるヒアルロン酸との静電相互作用による複合化を行った。酸化セリウムの微粒子がヒアルロン酸のネットワークに取り込まれている様子が電子顕微鏡によって観察された。生物組織から抽出できる環境低負荷高分子であるヒアルロン酸と紫外線遮断効果のある酸化セリウム微粒子の複合体は生体適応型高機能性材料として化粧品、医薬品などへの応用が期待される。今回調製した微粒子は水への分散が十分でないことから、ATSの代わりにトリエトキシシランを焦点とするデンドロンを安定化剤として用いることが今後の課題である。
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