| 研究概要 |
多糖類に見られるヘリックス形成とその凝集によるゲル化現象は,長さの変動するジッパー型の細い架橋ゾーンを有する特徴的なネットワーク構造が形成される(ジッパー架橋ゲ).プヘリックスの核生成・成長速度がヘリックス間の凝集速度より十分に速い系(カラギーナン等)について,高温・希薄領域では分子分散した均一溶液,高温のゲル領域ではランダムコイルが短いヘリックスで架橋されたタイプIのネットワーク,低温ゲル領域では2重ヘリックスが短いランダムコイルで架橋されたタイプIIのネットワーク,さらに低温ではネットワークが形成されずにヘリックス対(剛直棒分子)が溶解した溶液となることを示したヘリックス量の濃度・温度依存性を理論計算し,短鎖イオタカラギーナンの水溶液の旋光度測定結果と比較したところ良好な一致が見られた.
次に,ペアリング相の存在を確認するため,ジッパー型の架橋点を有する高分子ネットワークを計算機シミュレーションで生成させ,架橋構造と3次元ネットワークの構造を解析した.シミュレーションは会合高分子をモデル化したバネ・ビーズ模型を用い,オフラティスでのモンテカルロ法とブラウン動力学法を適用する.大学院生(田村勇之進)との共同研究.ジッパー架橋ゲルの最も簡単なモデルとして水素結合基が鎖上に密に配置された高分子を用い,鎖間にひとつの結合が入ると,隣接する水素結合基が結合し易くなるという相関を取り入れる.ネットワーク相からペアリング相(高分子がDNAのように2量体を形成し網目構造にはならない相)への転移が出現することを確認した.また,タイプの異なったネットワーク構造の間の移行が確認された.
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