研究課題
基盤研究(B)
本研究によって、各種の金属アート錯体が重合開始剤として有用であることを明らかにすることに成功した。以下、具体的な内容について記述する。1.遷移金属アート錯体を開始剤とするメタクリル酸メチル(MMA)のアニオン重合様々な遷移金属のハロゲン化物に有機リチウムを反応させて生成させたアート錯体が、MMAのアニオン重合開始剤として有効であることを見出した。鉄のアート錯体に添加剤として有機アルミニウムを共存させた系や、クロム、バナジウムのアート錯体を用いた-78℃での系においては、重合がリビング的に進行した。ニオブ、モリブデン、タングステンに2級アミンのアニオンを配位させたアート錯体を開始剤とする-78℃の重合は、立体特異的に進行しイソタクチックなPMMAを得ることができた。希土類のイットリウムに各種の2級アミンのアニオンを配位させたアート錯体を開始剤とする-78℃での重合もリビング的に進行し、開始末端にアミノ基を有する分子量の揃ったPMMAが得られた。2.アルミニウムのアート錯体を開始剤とするアクリル酸t-ブチル(tBA)のリビング重合トリイソブチルアルミ(iBu_3Al)にtBuOKを反応させて得られるAlのアート錯体が、tBAの重合をリビング的に進行させることを見出した。tBAの重合終了後に、MMAを加えるとブロック共重合もリビング的に進行し、分子量の揃ったブロック共重合体が得られた。3.Nbのアート錯体を開始剤とするイソブチルビニルエーテル(IBVE)のカチオン重合トリチルカチオンを含んだNbのアート錯体が、IBVEのカチオン重合の開始剤として有効であることを見出した。2級アミンのアニオンを配位させたアート錯体を用いた場合には、重合はリビング的に進行し分子量の揃ったポリマーが得られた。
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