研究課題
基盤研究(B)
本研究は、可逆的な共有結合切断プロトコルを用いた、新骨格ポリマー、ポリ[13]ロタキサンの合成とその性質について検討したものである。チオール-ジスルフィド交換反応を利用し、軸成分として、二級アンモニウム塩構造を2つ持ち、両末端にかさだかい置換基を有するダンベル型のジスルフィド分子を設計した。このダンベル分子とジベンゾ-24-クラウン-8-エーテル(DB24C8)構造を両端に持つイソフタルアミド型分子を、触媒量のチオフェノールで処理することにより、分子量25000のポリ[3]ロタキサンを収率65%で得た。この反応では軸や輪の構造、溶媒、触媒、および濃度の効果などに関し詳細に検討した。軸が長くなると重合速度は遅くなり、反応が平衡に達するまでに1週間以上の時間を要したが、生成ポリマーの分子量は数万となり、1:1付加体の生成を抑制することでポリマーの分子量を上げることができることがわかった。得られたポリマーの熱分析並びに分解反応性について検討した。熱分析の結果、140℃付近にガラス転移温度を持ち、300℃付近に分解温度を示すポリマーであった。ジスルフィドの典型的な還元系であるトリフェニルホスフィン+水を用いてポリマーを処理したところ、元の合成原料であるめがね型分子とダンベル型分子の還元体であるチオールが定量的に得られ、リサイクル性が示された。ポリロタキサンネットワークへも展開した。めがね型分子の代わりに主鎖にクラウンエーテル構造を含むポリマーを用いてダンベル型分子と反応させたところ、DMF等の極性溶媒に膨潤するゲルが得られた。ゲルは無色透明で弾力性があり、新しいタイプのゲルポリマーとして注目される。ポリクラウンエーテルのクラウンエーテル含量をコントロールすることでゲル特性の制御が可能であった。
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