我々は、幾何学的に密度勾配を持つ樹状構造体には分子内電子密度勾配が存在すると予想し、金属集積部位としてアゾメチン(イミン)を有する樹状のπ共役高分子に着目、世界で初めて、金属の位置と個数を精密にしかも自在に制御した有機/金属ハイブリッド化に成功した。本研究では、この精密金属集積機能をもつ新物質の特異的な段階的放射状錯形成を確定するため、TEMによる直接観察、化学的還元の2種の手法により明らかにした。さらに電子勾配を利用し部位特異的に機能分子を導入することに成功した。 電子勾配の存在を確定するため、コア構造をフェニル基から機能分子へ拡張した球状高分子、および、球状分子の枝の部分のデンドロンの錯形成挙動を観測した。具体的には、ホール輸送能を持つトリチエニルフェニルアミンおよび生体機能触媒分子として知られるポルフィリンをコアにもつ新規第4世代フェニルアゾメチンデンドリマーを合成した。さらに、アニリンでキャップしたデンドロンを合成した。いずれの物質においても、塩化スズを加えると4段階の等吸収点のシフトが観測された。1bでは3→6→12→2.4当量、1cでは4→8→16→32当量、1dでは1→2→4→8当量、それぞれ金属イオンを添加したときに等吸収点のシフトが生起した。いずれの物質においても、内側の世代より段階的に金属が精密に集積されていることを明らかに出来た。
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