研究概要 |
研究代表者および研究分担者はアニソール型キラル擬18-クラウン-6エーテルをセレクター部とするキラル固定相(1)を作成し、これを使ったキラルカラムが高い分離能を持つことを見出しその実用化に成功した。そこで、カラム性能に大きな影響を及ぼすと考えられるキラル部位とともにアニソール型とフェノール型の違いが不斉識別にどのような影響をおよぼすのかを調べることを計画した。フェノール性キラル擬18-クラウン-6エーテルをセレクター部とするキラルカラム(2,3)、キラル認識部位に嵩高い置換基を有するクラウンエーテルとして1-フェニル-1,2-シクロヘキサンジオールをキラルユニットにもつクラウンエーテルをセレクターとするキラルカラム(4、5)、さらに、3,5-ジメチルフェニル誘導体(6)、4-トリフルオロメチルフェニル誘導体(7)、1-ナフチル誘導体(8)についての不斉識別能を調べた。計画したセレクター(2)、(3)、(4)、(5)を合成し、これら4種類について、シリカゲル担体に化学結合で固定化するためにカルボン酸誘導体(9)、(10)、(11)、(12)に導いた後、対応するキラル固定相(1)、(13)、(14)、(15)に導き、キラルカラムの試作品を作製する事に成功した。また、第二級アミン用セレクターの開発もおこなった。また、1-フェニル-1,2-シクロヘキサンジオールをキラルユニットにもつクラウンエーテル(11)のキラルアミンに対する不斉認識をシフト試薬としての観点から希土類元素の共存下で評価した。 次に、これらキラル固定相の実用化に向けたデータを揃え、実用化が可能か否かを判定するため実用化サイズのキラルカラム作成のためのキラルセレクターの大量合成ならびにキラルカラムの性能評価をおこなった。1との比較の点からキラル固定相(13)を用いて、上記30種類のアミノ化合物の分離能を調べた。いくつかのアミンに対して1を上回る分離能および分析効率の向上につながる保持時間の短縮を実現した。 以上のように13に関しては予定した分離性能や保持時間のデータがとれ、今後の製造コストの最小化と価格設定をふくめて実用化検討が進んでおり、マーケットの需要により、実用化に対応できる状況になった。
|