研究概要 |
1.EDTAで架橋したシクロデキストリン二量体セリウム錯体によるルミノール化学発光の増強 EDTAで架橋したシクロデキストリン(以下CDと略)二量体およびその修飾体を用い、Ce^<IV>/過酸化水素/ルミノールの化学発光研究を系統的に行った結果、大きな増感効果を認めたうえで、CD二量体の連結様式、CD空洞の構造、配位子構造およびCe^<IV>イオンとCD空洞との距離等が触媒能発現において極めて重要であることを明らかにした。 2.色素-キャップドCDによる過シュウ酸エステルの発光強度の増強 CDの一級水酸側にビスベンズイミダゾールでキャップを施した色素キャップドCD誘導体を用いて、過シュウ酸エステルの発光反応に対する増感効果を検討した結果、色素と分子認識部位の連結は発光強度に大幅な増加をもたらした。また、発光強度と分子認識能の間に良い相関が認められた。 3.色素-CD連結体による過シュウ酸エステルの発光強度の増強 様々な色素-CD連結体を用いて、過シュウ酸エステルの化学発光反応について詳細に検討を行った。その結果、pyrene-CDおよびcoumarin-CD連結体に大きな増感効果を認めた。また、発光過程における各段階について検討した結果、発光強度の増強は主にエネルギー移動の効率化によるものであることが明らかになった。 4.ポルフィリン-CD多量体によるステロイド系物質のセンシング meso-テトラフェニルポルフィリンにCD1個〜4個を導入したポルフィリン-CD単量体〜四量体を用いて過シュウ酸エステルの発光反応を検討した結果、発光強度はCDの数に依存することがわかった。溶液に存在するステロイド系物質が、ポルフィリン-CD多量体の増間効果を減少させ、最大96%の化学発光の消光をもたらした。なかでは、ポルフィリン-CD四量体は、50%消光に5μM chenodeoxycholic acid,170μM ursodeoxycholic acidまたは160μM corticosteroneをしか必要としなく、chenodeoxycholic acidに対して特に高選択的且つ高効率的センシング能を示した。
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