研究課題
基盤研究(B)
Distamycin Aの認識配列であるAATT・AATTの一方のTTを(6-4)光産物あるいはシクロブタンピリミジンダイマーに変えた20塩基対の2本鎖DNAを調製し、CDスペクトルによりdistamycinの結合を調べたところ、(6-4)光産物を有するDNAに対しては特異的な結合を示す長波長領域の誘起CDシグナルが検出された。14塩基対の2本鎖を用いて精密な滴定実験を行ない、実験データをカーブフィッティングにより解析した結果、(6-4)光産物の形成によりdistamycinの親和性が多少低下し、n=2.50というstoichiometryが得られた。続いてdistamycinの本来の認識配列と(6-4)光産物を有するDNAに対する結合について差スペクトルを求めると、以前に報告された典型的な1:1および2:1の差スペクトルに一致した。損傷DNAに対しては低濃度でも2:1の差スペクトルが得られたことから、distamycin Aは(6-4)光産物を有するDNAに対して常に2:1の結合様式を示すことが明らかになった。また、生体内で(6-4)光産物を有するDNAを認識するヒト紫外線損傷DNA結合タンパクの結合との比較を行なうために、distamycin Aが(6-4)光産物以外にどのような損傷を有するDNAに結合するかを調べた結果、distamycin Aが結合するDNAはこのタンパク質が認識する損傷DNAとほぼ一致することがわかった。以上の結果から、distamycin Aは紫外線損傷DNAに対する特異的な結合を得るための有力なリード化合物であると結論づけることができる。また、紫外線損傷DNAの人工修復系の開発に向けて(6-4)光産物のアルカリでの分解反応を解析し、最初に起こる反応が5'側塩基のN3位とC4位の間の加水分解であることを明らかにした。
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Journal of the American Chemical Society Vol.126
ページ: 11017-11023
Journal of the American Chemical Society Vol.126, No.35
The Journal of Biological Chemistry Vol.278
ページ: 51968-51973
The Journal of Biological Chemistry Vol.278, No.51