超好熱始原菌Thermococcus kodakaraensis KOD1株のpyrFおよびtrpE遺伝子を破壊し、KUW1株を作製し、本株を宿主細胞として、Pyrococcus furiosus(至適生育温度100℃)およびThermoplasma volcanium(至適生育温度60℃)由来pyrF遺伝子を導入した。60℃培養から5℃ずつ温度を上昇させて培養したところ、Thermoplasma volcanium由来pyrFを導入した組換え株(KTV株)はウラシル非存在下で75℃まで生育できたが、80℃で生育は観察されなかった。Pyrococcus furiosus由来pyrFを導入した組換え株(KPF株)は85℃でも野生株KOD1と同様な生育を示した。KTV株内のPyrFは耐熱化されていなかったが、その代わり細胞内のchaperoninの発現が誘導されていることが判明した。通常のKOD1株では85℃以上にのみ発現するHSP60(CpkB)がKTV株内で75℃においても大量に存在することがわかった。KPF株ではこのような現象は観察されなかった。したがって、耐熱性の低いタンパク質を特異的に認識し、その変性を防ぐための防御機構の存在が示唆された。以上の結果より、いままでに知られていなかった超好熱始原菌におけるunfolded protein responseと同様なタンパク質品質管理メカニズムの存在が明らかとなった
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