研究概要 |
1.3,4,5-トリアルコキシケイ皮酸の合成。没食子酸エチルをアルキルブロマイド/KI・K_2CO_3でアルキル化し、HAl(0t-Bu)_3で還元し、3,4,5-トリアルコキシベンズアルデヒドに導いた。次に、NaH/EtOOC-CH=P(OEt)_3を反応させ、KOH/EtOHで加水分解し、3,4,5-トリアルコキシケイ皮酸の合成(R=C_8H_<17>、C_<10>H_<21>)に成功した。 2.超分子化合物の合成と液晶性の確認。3,4,5-トリアルコキシケイ皮酸とジピリジル、1,2-ジピリジルエタン、1,2-ジピリジルエチレンを、それぞれ、2:1でクロロホルム中にて混合し、減圧濃縮することにより、超分子化合物を得た。これらを偏光顕微鏡観察すると、柱状液晶相組織が確認された。これらの粉末X線回折を行い、柱状液晶相の超構造を確認した。 3.紫外線照射による光重合。これらの超分子液晶化合物に紫外線照射し、光重合を試みたが、反応は進行しなかった。希薄溶液においては、ポリマー化、二量化、異性化などが観測された。液晶状態では、超分子間の二重結合間距離が遠く、溶液よりも分子の動きが強く束縛されていると考えられる。 4.新しい液晶化分子の設計と合成。3の結果より、3,4,5-トリアルコキシケイ皮酸では光重合が困難であることが判明したため、光重合しやすい新たな液晶化分子、3,4,5-トリ(アクリロイルオキシモノデシロキシ)安息香酸、4-アルコキシ-3,5-ジアリルオキシ安息香酸、4-アルコキシ-3,5-ジ(アクリロイルオキシメチル)安息香酸等を設計し、合成に成功した。 5.これらの新液晶化分子とジピリジル、1,2-ジピリジルエタン、1,2-ジピリジルエチレンを混合したところ、いくつかの組合せにおいて、液晶性が観測された。 6.今後の予定。5で液晶性が観測された超分子化合物については光重合を試み、条件の最適化を行う。
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