研究概要 |
TPMS構造を持つ温度変化型液晶PCFの精密熱容量測定 温度変化に対してTPMS構造と関係したキュービック液晶相が発現すると報告されたポリカテナー液晶PCFについて,精密熱容量測定を行った.3ヶ月にわたる詳細な検討の結果,キュービック液晶相が安定相系列としては出現しないことが明らかになった.PCFではスメクチック相から等方性液体への相転移が,非常に小さな潜熱しか伴わない,ほぼ連続的な相転移であると報告されてきたが,その前駆現象と考えられる異常な熱容量の増大を見いだした. ミクロ相分離の基礎となるアルキル鎖の融解挙動 TPMSの出現にはミクロ相分離が関係していると考えられるので,温度変化型液晶におけるミクロ相分離を誘起する分子内アルキル鎖のエントロピー獲得(融解)挙動を調査した.無機錯体化合物において,アルキル鎖がエントロピー溜として働くこと,また,乱れた(融解した)アルキル差を持つ化合物では,秩序化したアルキル鎖を持つ化合物とは質的に異なる電子状態が発現する可能性があることを指摘した. 次年度以降の実験の準備 ・前年度に購入した^3He冷凍機を既設の熱量計に組み込み,性能の検証を行った.期待通り0.3Kという極低温まで冷却が可能であることを確認したが,信頼できる測定結果を得るには温度計の較正ならびにアデンダ測定に若干のノウハウがあることがわかった. ・TPMS構造を示す高分子試料の調製を行った.新年度には本測定を開始する.
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