研究分担者 |
堤 直人 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 教授 (50172036)
板谷 明 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 教授 (80035071)
清水 幸喜 (財)産業創造研究所, 光マテリアル研究部, 主任研究員
柳 久雄 神戸大学, 工学部, 助教授 (00220179)
谷口 彬雄 信州大学, 繊維学部, 教授 (00283242)
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研究概要 |
1 レーザー材料の開発 チオフェン環とフェニレン(ベンゼン)環からなり、(チオフェン/フェニレン)コオリゴマーと称する複合オリゴマーを用いたレーザー材料の開発に関して、分子両末端をアルキル基、メトキシ基、シアノ基、トリフルオロメチル基等のいろいろな置換基で修飾し、電子状態やキャリアの極性(ホールまたは電子)を制御し得る材料を新規開発した。 2 レーザー発振の観測 上記に開発した材料を高度に精製して単結晶およびナノ細線を作製した。これらをレーザー光励起し、レーザー発振を観測した。特に、モデル材料として2,5-ビス(4-ビフェニリル)チオフェン(BP1T)および5,5""'-ジフェニル-2,2':5',2":5",2"':5"',2"":5"",2""'-セクシチオフェン(P6T)を選定し、いろいろな励起条件でそれらのナノ細線をレーザー照射して、ナノ細線からの発光を克明に観察した。この結果、BP1Tで466nm、P6Tにおいて688nm付近の波長帯でレーザー発振を観測した。いずれの場合も、結晶の両端面がファブリー・ペロー共振器を形成する。有機結晶からのレーザー発振の観測は世界で初めてであり、かつ、広範囲での波長可変レーザーへの道を開くものとして意義深い。 3 ナノ細線におけるレーザー発振特性の評価 BP1Tナノ細線のサイズをいろいろに変えて、レーザー発振の特性を評価した。この結果、結晶サイズが大きくなるにつれてレーザー発振の閾値が低下することを確認した。また、励起レーザー光のビーム幅を20μmあるいはそれ以下に絞ることによって、再現よくレーザー発振が起こることをも見出した。これによって光の閉じ込めが特に有効に働くものと考えられる。
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