研究課題/領域番号 |
15350117
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
熊谷 直昭 岩手大学, 工学部, 教授 (30003875)
|
研究分担者 |
西舘 数芽 岩手大学, 工学部, 助教授 (90250638)
駒場 慎一 岩手大学, 工学部, 助手 (20302052)
|
キーワード | ソフトケミストリー合成 / 異種金属置換二酸化マンガン / ホランダイト二酸化マンガン / トドロカイト二酸化マンガン / リチウム二次電池 / リチウムインターカレーション |
研究概要 |
リチウム二次電池用正極材料のコスト、資源および環境的な課題を解決するために、LiMn_2O_4スピネルのようなマンガン酸化物が、現在実用化されているLiCoO_2代替材として集中的に検討されている。 本研究においては、従来の高温固相反応では合成が難しい新規な異種金属置換複合マンガン系化合物を低温での水溶液反応のようなソフトケミストリー手法を用いて合成しようとするものである。 1)(2x2)型の大きいトンネル構造を有するホランダイト型二酸化マンガン化合物の異種金属置換体の合成をK_2S_2O_8を酸化剤として用いた水溶液法により検討した。得られた反応生成物を化学分析、粉末X線回折法およびEXFS法等により調べた。新規なホランダイト型のα-K_<0.12>(Mn_<1-x>Co_x)O_2(x=0〜0.12)で示されるCo置換体及びα-K_<0.08>(Mn_<1-x>Fe_x)O_2(x=0〜0.12)のFe置換体を初めて合成した。これらの電気化学的にリチウムのインターカレーション特性を調べたところ、放電でCo置換体では270mAh/g-酸化物、充放電繰り返しでも200mAh/gの大きい電気容量を示すことが分かった。これは非置換およびFe置換体の容量より大きい値であった。 2)水溶液反応法により先ず層状構造のバーネサイト型二酸化マンガン異種金属置換体を合成し、次いでMg^<2+>によるイオン交換反応によりブセライト型MnO_2を合成した。最終的にこれを160℃付近での水熱反応により(3x3)の大きいトンネル構造を有する異種金属置換トドロカイト型MnO_2の合成を検討した。室温で水溶液反応によりCoおよびFe置換バーネサイト型MnO_2が合成できた。これを0℃〜室温で乾燥したときにMg^<2+>イオン交換した後にそれらの金属置換ブセライト型MnO_2が生成することを見い出した。尚、80℃の高温で乾燥した時はMg^<2+>イオン交換反応は進行しないことが分かった。得られたブセライト型MnO_2を120〜200℃の水熱反応により異種金属置換トドロカイトの合成を検討した。得られた生成物をXRD、化学分析、熱分析、TEM観察を行った。その結果、針状晶のMg_x(Mn_<1-y>M_y)O_2(M=Coではx=0.08〜0.10、y=0.23〜0.26,M=Feでは、x=0.13〜0.14、y=0.03〜0.16)の組成の生成物が得られた。これらの新しい異種金属置換トドロカイトの電気化学特性を調べた。充放電繰り返しでCoおよびFe置換体で60〜100mAh/g-酸化物の容量が得られた。
|