研究課題/領域番号 |
15350120
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
菅野 了次 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (90135426)
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研究分担者 |
山田 淳夫 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助教授 (30359690)
園山 範之 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助手 (50272696)
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キーワード | リチウム電池 / インターカレーション反応 / エピタキシャル薄膜 |
研究概要 |
層状岩塩型のLiCoO_2やスピネル型のLiMn_2O_4は、リチウムが構造中から可逆的に脱挿入する。その脱挿入機構は明らかになっていない。本研究では、正極材料のエピタキシャル薄膜を合成するし、理想界面を構築することにより、リチウムイオンの脱挿入機構を明らかにすることを目的とした。 Pulse Laser Deposidon法(PLD)法により、基板方位を変化させて製膜条件を最適化し、配向性を制御したエピタキシャル薄膜を合成した。本方法はターゲットとほぼ同じ組成比の薄膜が得られる利点がある。エピタキシャル薄膜を得るために、ターゲットの組成、基板の種類、基板温度、雰囲気ガス、ガス圧、レーザー出力などの条件を最適化して、LiCoO_2,LiMn_2O_4のエピタキシャル薄膜を得た。薄膜の同定は薄膜X線回折法(XRD)を用いた。 LiCoO_2は基板の配向面を変えてエピタキシャル薄膜の配向性を制御することができた。SrTiO_3(STO)の(111)面上にはLiCoO_2の2次元層が基板に対して平行なLiCoO_2(001)面が得られた。以降、LiCoO_2(001)薄膜と呼ぶ。STO(110)面上には、リチウムイオン拡散層が基板に垂直なLiCoO_2(110)薄膜が得られた。同様にLiMn_2O_4ではSTO(111)基板上にはLiMn_2O_4(111)薄膜が、STO(110)基板上にはLiMn_2O_4(110)薄膜が得られた。 これらの薄膜の電気化学特性を測定したところ、LiCoO_2(110)薄膜、LiMn_2O_4(111)薄膜ではバルクに近い充放電特性が得られたが、LiCoO_2(001)薄膜、LiMn_2O_4(110)薄膜ではほとんどリチウムイオンが脱挿入しなかった。以上のように、リチウム電池正極材料のエピタキシャル薄膜においては電気化学特性に明らかな面方位依存性があることが明らかなった。
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