研究概要 |
層状岩塩型のLiMO_2(M=Co,Ni)やスピネル型のLiMn_2O_4は、リチウムが構造中から可逆的に脱挿入する。その脱挿入機構は明らかになっていない。本研究では、正極材料のエピタキシャル薄膜を合成し、理想界面を構築することにより、リチウムイオンの脱挿入機構を明らかにすることを目的とした。 Pulse Laser Deposition法(PLD)法により、ターゲットの組成、基板の種類、基板温度、雰囲気ガス、ガス圧、レーザー出力などの条件を最適化して、LiNi_<0.8>Co_<0.2>O_2,LiMn_2O_4等のエピタキシャル薄膜を得た。薄膜の同定は薄膜X線回折法(XRD)を用いた。 LiNi_<0.8>Co_<0.2>O_2薄膜では基板の配向面を変えることによりエピタキシャル薄膜の配向性を制御することができた。SrTiO_3(STO)の(111)面上にはLiNi_<0.8>Co_<0.2>O_2の2次元層が基板に対して平行なLiNi_<0.8>Co_<0.2>O_2(001)面が得られた。以降、LiNi_<0.8>Co_<0.2>O_2(001)薄膜と呼ぶ。STO(110)面上には、リチウムイオン拡散層が基板に垂直なLiNi_<0.8>Co_<0.2>O_2(110)薄膜が得られた。同様にLiMn_2O_4ではSTO(111)基板上にはLiMn_2O_4(111)薄膜が、STO(110)基板上にはLiMn_2O_4(110)薄膜が得られた。 大型放射光施設SPring-8においてこれらの薄膜のin-situ X線回折実験を行った。その結果、LiNi_<0.8>Co_<0.2>O_2はリチウムの拡散パスを有する(110)膜においてはリチウムの脱挿入が確認できたが、拡散パスを持たない(001)膜ではリチウムの脱挿入が起こっていないことを直接観測により明らかにした。一方、LiMn_2O_4では面方位により、表面の安定性が異なることを明らかにすることが出来た。
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