研究概要 |
1)カーボン層のナノ構造制御 1-1)カーボン被覆のための前駆体の選択によるナノ構造制御 カーボン層のナノ構造を正確に評価するため,酸化マグネシウムMgOを基材触媒粒子として選んだ.MgOとカーボン前駆体(ポリビニルアルコール,PVA)との混合物を1000℃付近の高温でカーボン被覆した後,MgOを希硫酸で溶出し去り,カーボンを単離した.そのカーボンについて,細孔構造を評価した.また構造を異にする酸化アルミニウムAl_2O_3へのカーボン被覆を行い,カーボン層のナノ構造へ基材が強い影響を持っていることを示した. 1-2)ナノ構造制御したカーボン層のより効率的被覆プロセスの確立 チタニウムイソプロポキシドをPVA水溶液中で加水分解,そして高温へ加熱処理することによって,微粒子の酸化チタン粒子の状態でカーボン被覆が可能であることを示した.このプロセスによって,原料であるチタン化合物およびPVAをより効率的に使用でき,光触媒としてのパフォーマンスを向上できることが明らかとなった. 2)被覆カーボン層と基材との相互作用による機能の高度化 2-1)TiO_2の還元相(Ti_4O_7など)の創製とその光触媒能の評価 基材アナターゼTiO_2と被覆したカーボンが反応し,TiO_2を部分的に還元し,還元相Ti_4O_7相が生成することを見出した.基材,処理温度,時間,および雰囲気を選択することによって,一般式Ti_nO_<2n-1>相が生成することが分かった。 2-2)SnO_2の還元によるカーボン被覆金属Sn微粒子の創製とその負極性能の評価 酸化スズSnO_2とPVAの粉末混合物を900℃まで加熱することによって,SnO_2を金属Snに還元し,カーボン被覆Sn微粒子を作成することができた.この加熱処理の過程でMgOを共存させることによって,融点の低い金属Snの凝集を防ぐことができることを見出した.加熱処理後,酸で洗浄することによってMgOを取り除いた,このようにして調製したカーボン被覆金属Sn複合体は,リチウム二次電池負極としてかなり高い放電容量を示すことが明らかとなった.
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