研究課題/領域番号 |
15350132
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
英 謙二 信州大学, 大学院・総合工学系研究科, 教授 (60126696)
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研究分担者 |
木村 睦 信州大学, 繊維学部, 助教授 (60273075)
鈴木 正浩 信州大学, 大学院・総合工学系研究科, 助手 (30334915)
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キーワード | ゲル化剤 / ゲル電解質 / 物理ゲル / イオン性液体 / イオン伝導度 / ゲル化駆動セグメント / 水素結合 |
研究概要 |
本研究は、(1)水素結合や疎水性相互作用などの非共有結合をとおして液体をゲル化するゲル化駆動機能と(2)非晶性のポリマー(あるいはオリゴマー)は溶液中から結晶化しないという現象に着目し、これらの二つの機能を結合させた結晶へ転移しない安定なゲルを形成するゲル化剤ポリマーの合成を目的とする。すなわち、(2)の機能を有する非晶性のポリマーあるいはオリゴマーに(1)の機能をもつゲル化駆動部位を共有結合でつなげることにより、低分子の自己集合性と高分子の非晶性という一見、相矛盾する二つの機能を利用して新規なポリマー型ゲル化剤を開発しようとするものである。 平成17年度内に実施した研究内容は下記のとおりである。 筆者らの研究室で開発されている10種類以上のオイルゲル化剤の中でも特に強いゲル化能を示したゲル化剤の構造をもとに、官能基を有する化合物をゲル化駆動部位として合成した。ゲル化駆動部位として合成したセグメントを非晶性のポリマーあるいはオリゴマーとして、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールを選び共有結合で導入した。その結果、新規なポリマー型ゲル化剤、オリゴマー型ゲル化剤が合成できた。 一方、開発したゲル化剤を利用して、最近話題を呼んでいるイオン性液体をゲル化し、ゲル電解質としての性能を調べた。イオン性液体をゲル化して作製したイオン性液体ゲルは熱的に安定で、140℃に加熱してもゲルの形状を保ったままであった。また、そのイオン伝導度はゲル化剤の影響をほとんど受けることはなく、ゲル化剤の添加によるイオン伝導度の低下は極小程度であった。さらに、極性溶媒の炭酸プロピレンをイオン性液体に加えた混合液に対してもゲル化能を示し、その混合液ゲルのイオン伝導度はイオン性液体ゲルの伝導度より、はるかに高い値が得られた。また、支持電解質を含むイオン性液体についてもゲルを作製し、イオン伝導度を精査した。
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