研究課題
基盤研究(B)
本研究では、高圧下での高分子構造相転移研究、ナノ構造研究として、特に下記の3点に注目した(1)ブロック共重合体系の相転移温度に与える圧力の影響(2)ブロック共重合体系の自発的配向性能に与える圧力の影響(3)オリゴマー的ブロック共重合体(低分子液晶化合物ANBC-22)の加圧下での相転移本研究の開始以前に報告されていた高圧下での高分子構造相転移研究を鑑みるに、当時、装置の制約(最大圧力は2000気圧程度)ゆえ、特に本研究の目的のナノ構造研究に高圧構造解析手法が充分威力を発揮しているとは言いがたい状況であった。そこで、装置上の制約を緩和して最大到達圧力を5000気圧にまで高めるとともに、装置の操作性を飛躍的に高めることによって、本研究を開始したのである。大規模シンクロトロン放射光設備(SPring-8;兵庫県西播磨)を用いて、超高圧圧力ジャンプにともなう時分割2次元小角X線散乱測定を行った。その結果、高圧X線構造解析のナノ構造研究における重要性が示された。それのみならず、圧力媒体を利用する高圧試料セルを限界まで薄くして、X線が透過できるように改良したことによって、5000気圧までという限界はあるものの、リアルタイムで現在の圧力状態を知ることができるとともに、簡便に圧力を変化させることができるという操作性の向上によって、実験条件の多様なコントロールが可能となり、研究の幅を広げることができた。圧力ジャンプも可能であり、今後、益々の展開が期待されるところである。
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