研究分担者 |
梶原 莞爾 大妻女子大学, 家政学部, 教授 (10133133)
安永 秀計 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助手 (80241298)
奈倉 正宣 信州大学, 繊維学部, 教授 (70021178)
大越 豊 信州大学, 繊維学部, 助教授 (40185236)
後藤 康夫 信州大学, 繊維学部, 助手 (60262698)
|
研究概要 |
高強度・高弾性率繊維の開発の基礎として、いわゆる繊維構造の形成過程の詳細を解明することが本研究の目的である。具体的には、未延伸PET糸のレーザー加熱延伸過程における構造変化をX線広角回折法(WAXD)及び小角散乱法(SAXS)で直接観察し、繊維構造形成過程を検討しようとする試みである。昨年度に試作したレーザー加熱延伸装置を用いて,直径600μmの未延伸PET繊維を延伸倍率約5倍で連続延伸しながら,WAXDとSAXSをその場観察した.X線照射位置を延伸点から0.5mm幅で変えながら構造変化を観察した.このとき,延伸点から照射位置までの距離は,ネッキングが起こってからの経過時間に対応する.従って,測定する位置を延伸点から遠ざけていけば,繊維構造形成過程が時間の関数として直接観察できることになる.ここで用いた時間分解能は,約7msである.観察結果から,長周期構造が20msで出現し,それと同時に結晶化も始まり,約40msで著しい結晶配向が生じることがわかった.また,より短い経過時間における構造変化を観察するために,未延伸糸の送り出し速度と延伸糸の巻き取り速度を高速化し,時間分解能を0.5msにまで高めることに成功した.このときのWAXDによる構造変化の観察によれば,0.5msですでに配向結晶化が始まっていることがわかった.このとき,安定な連続延伸を可能にするため,直径240μmのより細い未延伸糸を用いた.そのため,実験室レベルのX線装置でのSAXS測定が散乱強度の低さから困難と判断した.そこで,大型放射光実験施設SPring8の利用を考え,共同利用実験を申請し,認められた(実験実施予定日6月後半).そのてめ,SPring8のX線散乱装置に対応するための改良を行った.
|