研究課題
基盤研究(B)
光学波長オーダーの三次元周期構造を自己組織的に形成する液晶ブルー相を広範囲の温度域で安定化した高分子安定化ブルー相の調製条件を検討した。定温光重合によりブルー相I(BPI)の安定化が可能な条件について、液晶中に添加する光重合性混合モノマー(EHA/RM257)の組成を種々変えて調査した。高分子安定化BPを調製するためには、BPI発現温度領域内での光重合性モノマーの重合が必要不可欠であり、最適な一官能性/二官能性モノマー比を選択する必要性が示唆された。次にBPIIを示す液晶に光重合性モノマーを添加し、温度勾配下で光重合を行い、BPIIの安定化に及ぼす温度条件を0.1℃の精度で調査した。その結果、BPIIを示す温度範囲内のさらに0.3℃の温度範囲内において光重合した場合のみBPIIの安定化が確認された。温度勾配ユニットを用いたBP安定化の判別は、温度に幅を持たせて評価でき、相の判別も容易であることから非常に優れた手法であることが示された。重合温度の最適化によりブルー相IIの安定化に初めて成功した。In-plane電界に対する高分子安定化BPの電気光学特性を、偏光顕微鏡観察、反射可視スペクトル測定および光スイッチング測定に基づき評価した。In-plane電界に対して、高分子安定化BPの相構造が安定に保持されることが明らかとなった。電界印加により誘起された電気複屈折から算出した見かけのカー係数はニトロベンゼンの約100倍以上と非常に大きな値を示した。これは、高分子安定化BPがその構造上光学的に等方性であるが液晶の秩序を有しており、等方性液体のニトロベンゼンと比較して誘起される配向分極が非常に大きいためであると考えられる。また、光スイッチング測定より評価した293.5Kにおける高分子安定化BPの電気光学応答時間は、10-5~10-4sオーダーであった。液晶分子の熱運動性が上昇する高温領域では、10-6sオーダーの非常に高速な応答が観測された。
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