研究概要 |
ErSiO自己組織化超格子結晶は、一色(研究分担者)、木村(研究代表者)とオランダAMOLF研究所のDr.A.Polmanとの共同研究において見出された結晶で、Erが結晶の構成原子として20%程度含まれる超格子構造を持つ半導体結晶である。Erを不純物として含む材料とは異なり、室温の1.54μm発光スペクトルに微細構造が見られ、且つ、温度消光がほとのどないという特徴を持ち、1.54μm発光ダイオードあるいはレーザダイオードの実現、増幅特性を持つ導波路の実現の可能性が高く注目されている。 当初に作製されたErSiO結晶は、Si(100)基板上に縦、横、数十μm、厚さ、数μmのアイランド状の結晶であったが、本研究所では、デバイス作製のために必要な薄膜状のErSiO自己組織化結晶の作製を目的として、作製方法の開発と作製された薄膜の評価を行ってきた。 平成16年度においては、1)Si基板上にゾルゲル法で作製する方法、2)ポーラスシリコンの微細孔にErを導入する方法、3)Si傾斜基板上にMBE法で作製する方法を開発し、そのいずれの方法においてもErSiO自己組織化薄膜の作製に成功し、ErSiO薄膜特有の結晶構造、および、微細構造を示す1.54μm室温発光特性を得た。 現在、導波路構造を作製し導波路特性の試験的測定を行っているが、まだ、光の散乱が大きく、膜質の改善が今後の課題である。 これらの成果は、E-MRS 2005 Spring Meeting、MRS 2005 Fall Meeting(invited)で発表、さらに、MRS 2006 Spring Meeting, E-MRS 2006 Spring Meeting で発表予定、また、Appl.Phys.Lett.85,4343(2004) その他、多数の外部発表を行った。
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