研究概要 |
ErSiO自己組織化超格子結晶は、従来のErを不純物として含むSi系材料とは異なり、Erが結晶の構成原子として14%程度含まれる超格子構造結晶である。超格子構造を反映して、Er^<3+>4f電子遷移による1.54μm発光スペクトルに室温でも微細構造が見られる。電子正孔対の再結合エネルギーでEr^<3+>4f電子を励起できる特徴を持ち、1.54μmLED、LD実現の可能性を持つ。平成17年度は、デバイス作製のために必要な薄膜状のErSiO自己組織化結晶をSi基板上に作製する方法を確立し、得られたErSiO薄膜の結晶学的、光学的、電気的特性を明確にした。平成16年度から進めている、1)ゾルゲル法、2)ポーラスシリコンを用いる方法、3)MOMBE(有機金属分子線エピタキシー)法の3種類の作製方法を発展させ、数百nmから数μm厚の良質のErSiO自己組織化薄膜の成長を実現した。ErSiO薄膜の組成、結晶構造、1.54μmフォトルミネセンススペクトル、光励起スペクトル、Er^<3+>4f電子のエネルギー伝達機構、エネルギー緩和機構を調べた。電気的特性測定から、ErSiOはp型の半導体であり、電流注入によるLED、LDの可能性のある材料であることを示した。現在、n-Si/p-ErSiOダイオード、導波路、光共振器の作製を行い、その特性評価を始めている。これらの成果は、上記の論文にて発表するとともに、MRS 2005 Spring Meeting, E-MRS 2005 Spring Meeting、GFP(group IV photonics)2005 meeting, LEOS 2005(invited),Optomechatronic Technologies(ISOT 2005)(invited)、第53回応用物理学会連合講演会(2006年春季)シンポジウムで発表した。
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