研究概要 |
フォトニック結晶は、その内部に波長程度または波長以下のオーダの周期的な屈折率分布を設けた結晶であり,フォトニック結晶が持つ周期性により、光学定数(透過率、反射率、吸収係数などの)や偏波方向の制御の可能性がある。本研究では,ワイドバンドギャップで可視光及び紫外光に対して透明であるため、紫外線の発光や受光デバイス用材料として盛んに研究がなされてい窒化物半導体で,フォトニック構造との組み合わせにより紫外光の透過率・反射率の制御および,偏向特性を明らかにする。平成15年度は,以下の3点を中心に研究を行った。 (1)反応性イオンエッチングを用いた自然形成法によるナノ針状結晶の作製と光学特性の評価:反応性イオンエッチングにより自然形成されたGaN Nanotipsは、100nm以下の周期で表面に一様に分布していることが確認された。また,禁制帯幅に対応する360nmの紫外域から可視域までの広い波長範囲で、反射率が低減、透過率が向上する特性を有していた。さらに,GaN Nanotipsの高さ・密度制御を行い、光の反射防止・透過向上効果の更なる改善を目指した。エッチング条件を変化させることによりNanotipsの高さと密度をそれぞれ0.1-2.0μm、10^9-10^<11>cm^<-2>のように制御が可能になった。 (2)電子ビームリソグラフィによる周期性を有するドット型及びストライプ型ナノアンテナ作製:FDTD法によるフォトニックバンドギャップの計算により、ナノアンテナの設計を行い、電子ビーム描画によるパターン作製と反応性イオンエッチングによるナノアンテナ作製を開始した。直径50-100nmのドット構造について,電子ビーム描画条件を確立した。 (3)深紫外受光素子への応用:ナノアンテナによる反射防止・透過向上効果を応用するため,AlGaN系深紫外受光素子の真空紫外域での受光特性をUVSORを用いて調べた。
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