研究概要 |
Mo金属基板上に多結晶GaNを成長した場合、グレインの大きさとして適当な大きさの時に最も低いしきい電界6.4V/μmの電界電子放出が得られた。実効的に電界放出トンネル障壁高さを低減する目的で、GaN表面に薄いAlN層を形成し、このことにより電子放出のしきい電界値を更に低下できることを確認した。電子親和力が0.8eV減少することを明らかとした。 グレイン構造を制御することにより更に低いしきい電界が得られるとの結論から、薄いSiO_2自然酸化膜が表面に形成されているSi基板上へのGaNの成長を検討した。この結果、GaNはきれいな柱状のGaN(ナノロッド)となり、電界電子放出しきい電界として1.25V/μmと大幅な改善が見られた。放出電流密度としても2.5V/μmで2.5mA/cm^2の大きな電流の得られ、実用化可能な値である。基板(下地)との密着性の良さを考慮すると、電界放出電子源への応用が有望であることが明らかとなった。 希土類添加GaN(GaEuN,GaGdN,GaDyN)からは、強くシャープなフォトルミネセンス(PL)可視発光が得られた。これらの発光の発光波長が温度無依存であること、発光寿命がμsec以上と長いことから希土類原子の内核準位間遷移によるものと同定された。可視域発光蛍光体としての可能性が十分あると考えられる。さらに、室温強磁性を示すことを見出した。発光と磁場の相互作用を利用したデバイス(スピントロニクス)への展開も興味がもたれる。
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