研究概要 |
光干渉計測によって空間的にインコヒーレントな多色物体の3次元的形状と連続スペクトルを同時に取得する計測原理,すなわち光が伝達する物体情報のうち偏光を除いた全てである3次元空間情報と分光情報の同時再現を可能とするアイデアは従来にはなく,また,このような広義の光干渉イメージングの実現を目的とした報告も代表者の知る限りみられない.本研究の目的は,代表者が2001年に米国光学会誌に発表した上記3次元物体の干渉分光イメージングを実現する新しい原理をさらに拡張し,学問的に体系化すると同時に実験的に検証し,世界初のファーストイメージを獲得することにある. 現在,新しい実験システムをハード的・ソフト的に立ち上げる作業をおこなっている.その一方で,計測原理の検証とパフォーマンス評価を念頭において,理論と実験の両側面から研究を進めている.理論的検討は原理を数学的に拡張し定式化することによる理論的見通しと,計算機を利用したシミュレーションによる.また,ブレッドボード上に構成した原理検証実験系によって,基礎データを取得している.これは,原理の確認を念頭においた第一段階の実験であるため,測定物体は異なる方位と距離,波長を有する2つの互いにインコヒーレントな点光源を利用している.最近,これらの点光源の空間的位置と波長の独立再生に成功した.光の場は線型であるから,より複雑なインコヒーレント多色光源分布への一般化は容易であり,上記の実験結果から多色光源分布の任意の断面における分光画像を再生可能であることが帰結される. このように,3次元的な広がりをもった空間的にインコヒーレントな多色物体の分光立体イメージングが,光干渉計測のみによって実現可能なことは,理論的・実験的に明らかとなった.
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